僕のためだけの真贋鑑定

 絵画や、宝石、骨董など、いろいろなものごとで、真贋鑑定が行われてる。

 でも、僕は真作であるか、贋作であるか、実は、そんなものはあまり大して意味のないことのように思う。それは、どこかの誰かが決めた判別式に過ぎなくて、自信のない人たちが自分じゃ決められず、失敗をおそれるがあまり、世の中に規定してほしい尺度にしか過ぎない物のように思う。

 だって、それは、本物であろうと、偽物であろうと、僕ら自身が、自分自身が、美しいと思えれば、素晴らしい物と思えれば、それでいいんじゃないかと思う。全ての物事の価値は自分自身の中にしかないはずだから。自分が美しいと思っているなら、それは何よりも美しい物であるはず。

 たぶん、なんでもそうだと思う。自分自身が正しいと思うんだったら、それは何よりも正しいことだと思うし、自分自身が素晴らしいと思うことなら、何よりも素晴らしいことのように思う。

 だから、僕はもっともっと、世の中の尺度なんか取っ払って、自分の中にある自分だけの価値観の純度を高め、もっともっと自分自身が本当に求める価値に近づいていけたらと思う。それが世の中的な贋作であったとしても、それでいいんだと思う。