『課外授業ようこそ先輩』「視点を変えれば世界が変わる」 2009年7月12日放映



 オウム真理教へのドキュメンタリー『A』で一躍名を馳せた森達也さんの課外授業。

 子供の頃から今でも、嫌いなものや苦手なものは割と多い方だと思う。一度そう思うと、なかなか覆ることもなく、とことん避けて日々を過ごしたりする。そんな自分を直そうと思ったりもするけれど、嫌いなものがあるからこそ、好きなものもあるんだともやっぱり思ったりもした。嫌いなものもない、聖人君主のような人は、大して好きなものもない。すごく好きなものがあるからこそ、すごく嫌いなものができる。そんな風に、自分の中では結論づけていた。

 ある意味それは、正しいことだと今でも思ってもいる。

 でも、大人になればなるほど、嫌いなものや苦手なものを避けてばかりでは生きられない。しかも、直面してみると意外に嫌いじゃなかったり、割と好みだったりするようなこともよくあることだ。

 組織でも、人でも、物事でも、好きなものもそればっかりじゃない。それと同じで、嫌いなものもそればっかりじゃない。避けずに対峙していくことで、自分の世界に対する気持ちはずっとクリアになっていくし、世界に対して関係を広げることができるようになる。それを、森さんは伝えたかったんじゃないだろうかと思う。

 僕自身もいい大人なんだから、もう一度「食わず嫌い」的に毛嫌いしていたものに対して、もう少し積極的に関わっていってもいいのかな。そうすれば、もっといろんな世界の、いろんな人たちと出会い関係が結べるのかな。そう思わされた。